茨城症候群

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手伝いサンタ3

  • 2007年12月24日 23:41
  • UFO

手伝いサンタ2

昨日の昼頃、高校の頃の同級生から電話があったんです。山本さんという女の子です。彼女とはクラスが同じだというだけで、特に親しい付き合いはしていなかったんですが、突然電話があったのでびっくりしました。翌日がクリスマスイブだということで一緒に遊びたかったのかと思いましたが、どうやらそれは違いました。

「おじいちゃんが、いなくなっちゃったの…」

そう、山本さんは幼い頃にお父さんとお母さんを亡くして、唯一の肉親であるおじいさんと一緒に暮らしているということを聞いたことがありました。そのおじいさんが、昨日突然いなくなったというのです。山本さん本人にしてみれば、それは相当なショックだろうとは思います。けれども、どうして私に助けを求めたのか解りませんでした。

私と山本さんとは、高校を卒業してからは何の連絡も取り合っていない間柄なんです。高校時代、山本さんには私よりももっと親しかったはずの友達がいました。私なんかよりも、彼女たちに相談をすればいいのです。少なくとも、私が山本さんの立場ならそうします。ところが、山本さんは私に連絡をしてきたんです。全く理解できませんでした。

「お願い…、うちに来てくれる?」

適当に相槌を打っていると、山本さんはそんなことを言い出しました。それを聞き、正直なところ私は困りました。翌日のクリスマスイブに家族で行うパーティのためのケーキを作るために、今日一日はその下準備をしようと思っていたところです。山本さんの家へ行っていたら、色々と材料を買いに行く暇なんてなくなってしまいます。私は迷いました。迷いましたが、私は頼まれると断れない性格です。どうせ一時間もいれば山本さんも落ち着いて、私もすぐに帰れるだろうと思い、行くことになりました。

山本さんの家は、自転車で20分ほどの距離です。すぐ近くに私がよく行く美容院があったので、道には迷わずに辿り着くことができました。一戸建ての平屋の家に山本という表札があることを確認して、私はインターフォンを押しました。するとしばらく経ってから、がらがらと扉を開けて山本さんが姿を現しました。

「山本さん!?」

私は驚きました。きっとおじいさんがいなくなり一人きりで心細く不安なんだろう、さぞやつれているに違いない、私はそう思っていたんです。ところが山本さんの格好を見てみると、これからパーティでも催すかのような派手な格好、真っ赤なサンタクロースの格好をしていたんです。奇妙でした。サンタクロースの格好をしながら、泣き顔なんです。現実ではないかのような光景でした。

山本さんは自分の格好を恥ずかしがることもなく、私を家に招き入れました。テーブルには食べかけの唐揚げ弁当が置かれていました。そしてその周りには、丸められたティッシュがいくつも転がっていました。きっと激しく泣いたのでしょう。おじいさんがいなくなったことは、それだけ山本さんにとってショックな出来事だったのです。

「おじいちゃんが、いなくなっちゃった…」

テーブルで向かい合うと、山本さんはうわごとのように、そうつぶやいていました。私はどう話を進めていいのか分からず、ただ山本さんの目を見ながら頷くしかできませんでした。

「どうしよう、サンタの仕事、一人でやらないと…」

「…サンタの仕事?」

「…そうだ、ねえ、手伝ってくれない?サンタの仕事」

私は頼まれると断れない性格なんです。

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